本文へ
活動紹介
HOME活動紹介/ピースアクションin なら 2019「核兵器をめぐる世界の動きと私…

ピースアクションin なら 2019
「核兵器をめぐる世界の動きと私たちにできること」を開催しました

【2019.12.04 更新】

11月30日(土)奈良県商工会議所で、ピースアクションをすすめる会(奈良県生協連とならコープ平和の会)主催「ピースアクションinなら 2019」を開催し75名が参加ました。核兵器禁止条約が国連で採択されてから2年、2020年にはNPT再検討会議が開催されるにあたり、世界の情勢、核兵器の非人道性と核抑止論などについて、正しく理解し、私たち市民ができることは何かを考える機会としました。基調講演では、長崎大学核兵器廃絶研究センターから、准教授の中村桂子氏を招き、「核兵器をめぐる世界の動きと私たちにできること」をテーマにお話しいただきました。

中村桂子さん
●基調講演 長崎大学核兵器廃絶研究センター 准教授 中村桂子氏
核兵器をめぐる現状
 核兵器廃絶にむけ厳しい現実を迎える中、ローマ教皇のスピーチは、核兵器廃絶を願う私達に、大きなボールをなげられた。この盛り上がりを一過性にしないために、今こそチャンスをつかみ、私たちにできることを一歩前へ進める時である。
 今の世界の現状を一言で表すと、「核兵器のない世界を実現する」道と「数を減らしながら、でも永遠に持ち続ける」道の二つに分かれている。前者については、かつてなく、はっきりと道が見えてきている一方、後者は「核兵器があるから平和が守られているという世界」に固執している。現在、どちらにもいける状況であるが、それは私たち次第で変わる現状にある。
2017年7月、核兵器を全面的に非合法化する「核兵器禁止条約」が122ヵ国の賛成を持って採択された時は、会場に溢れるほど参加者が多く、「自分たちが主役で世界を変えるんだ」というエネルギーが溢れる会議だった。その一方で核保有国は、削減にむけた取り組みが進む現状に焦りが見えるも、核兵器への依存をますます強め、小型核兵器を開発するなど「核の近代化」をすすめ、「核兵器のある世界」を延命しようとしている。
冷戦の最大時には、世界に7万発あった核兵器は、2019年には13,880発に減っているが、存在する限り、核に守られているという意識は変わらない。むしろ強化されている。核兵器をいつも使えるという状態には変わりはない。

「核兵器のない世界」に近づくために、世界の国々や人々はどのような努力をしているのか? 
 NPTの三本柱は、「核不拡散」「核軍縮」「原子力の平和利用」。この「核軍縮」が重要であり、核保有国に対し、核を減らすのではなく、「ゼロにする」ことを約束している。「ゼロ」にすると約束したのはNPTだけ。NPTは、核を持つ国と持たない国の取引条約であり、誠実に交渉するとても大切な条約。NPTをすすめるためには、もう一度、核の非人道性を訴え続けること。世界ではすでに、対人地雷や化学兵器など、さまざまな兵器が禁止されている。目的は条約をつくることではなく、核兵器に「悪の烙印」を押し、核抑止に依存することの正当性を崩し、核保有国と「核の傘」依存国にじわじわと圧力をかけることで、大きな流れに変えていくことが最も重要。
核問題よりも、経済や貧困問題の優位性が高い小さな国も、「核兵器禁止条約」によって、「自分たちに関係ないわけではない、核兵器があることで、自分たちも影響受ける」という気運が高まっている。核を持たない国が、自分たちが主役で世界を変える力を持っていると思うことが大きな前進となる。核保有国が条約に入らないのは織り込み済みであり、大切なことは、核兵器禁止条約の意義を理解して、ICANのノーベル平和賞の受賞を追い風に、今、声を上げていかないと気運が下がってくる。

私たちの課題は何だろうか?
 被爆者にとって、一番悲しいことは、自分の国に裏切られていることだという。2016年10月に国連の委員会で「核兵器禁止条約」の交渉を開始する決議が採択されたとき日本は唯一の被爆国であるにもかかわらず、政府は段階的な核軍縮が望ましいと決議に反対し、はっきりと禁止条約に背を向けた。忘れられない言葉がある。一度核兵器を作って、手放した唯一の国、南アフリカは、「批准しないことは、ヒロシマ・ナガサキの被爆者の頬をはたくことである」と述べ、それは日本が言うべきことであると指摘した。本来、日本はリーダーシップを取るべき国。しかし、世界は日本がどうしたいのか、と思っている。日本は二つの顔を世界に見せている。政府は事あるごとに、「被爆国として」と話す一方で、「核兵器の傘に守られている、今は核兵器が必要なのだ」と発信している。日本の世論調査では「核がないと不安」という気持ちがあり、半々に分かれる。
「抑止」とは、もし攻撃したら耐え難いほどの反撃をするぞ、と相手を脅すことで攻撃を思い留まらせようする考え方。核抑止は、核兵器をいつでも使ってやるぞという脅しであるが、これまでの戦争で抑止が実際に機能したということはない。逆にテロリストによるテロなど、抑止が効かないケースもあり、「核抑止力」は理屈に過ぎない。
核問題の現状や背景を知らないと、「自分には関係ないし、どうしようもない」と思い、「核なき世界」へのビジョンを描けない、「方法論」がわからないことで、希望を持たない学生が増えている。
希望を持つためには、事実を知ること、そして核兵器の一発が、自分たちと同じように暮し、生活している人々に対して、何をもたらすかを考える想像力を持つこと、そして、「私たちが世界を変える主役であり、主体である」と認識すること。今、世界は本当に動いている。
 と話されました。


植田久美代さん
●リレートーク
 奈良北高校放送局製作DVD上映 植田久美代先生
 同高校の放送局が作り、NHK杯全国高校放送コンテスト(第66回)の奈良選抜に出場したDVDを上映。
部員たちが、被爆者の深町さんの体験談を取材しDVDを作成。経験した人からしか受け取ることができない、深町さんが感じたこと、もどかしさを本当に理解して思いを伝えたいと、悩みながら作ったという。編集を終え、部員たちは、今まで遠いところのことだと思っていたが、被爆者と同じ目線になり、平和は一人ひとりが努力してつくり上げたものであり、自分たちもその一人として平和をつくっていきたいという思いを持つようになった。そして、知らなかったことを「知る」ことで、平和について考えるきっかけとなり、生きていくモチベーションになる。

國本理紗子さん
「Peace Now! 奈良2019」報告奈良女子大 國本 理紗子さん
 「Peace Now! 奈良(通称・ぴーなら)」は、奈良の3大学合同で、平和について、生協学生委員の有志が企画・運営している。6月16日(日)に「ぴーなら」を開催し、学生委員の枠を超えた幅広い組合員60人が参加。実行委員の想いは、平和について「もっと気軽に」「自分から学ぶ姿勢を大切に」「考え続ける“きっかけ”づくり」。今年ならではの企画は「ぴーなら図書館」。フィールドワークや被爆体験を聞いたあと、ぴーなら図書館で自分が興味や関心を持つ資料を見つけ、情報をインプットし、そこから平和や戦争に繋げて考える。目的は、参加者一人ひとりが「平和」のハードルを下げる、深める、身近にすること。大事なことは「興味・関心を原動力に自ら動く」こと。「平和」は自分には関係ない、関わるには大きすぎる問題と思っていたことを、「自分たちの身近なもの、根付いているもの」に変えたい。大学生だからこそ、同世代に伝えられることがあり、より多くの人の想いを伝え、広げていくために、本企画をますます充実させて、奈良でも平和について考える機会を引き続き持ちたい。

NPT再検討会議生協代表派遣者を紹介し、NPTに向けての想いを話していただきました。

奈良県生協連代表 宮本志音さんならコープ代表 カーン陽子さん

●リレートークをうけて最後に、中村先生から以下のコメントを頂きました
 大人は「若い人は核兵器廃絶に関心がない」というが、学生にアンケートを実施すると、全国から想像を超える返信があった。関心はあるが、きっかけがないという意見も多く、一歩踏み出すチャンスがあれば前進する。原爆資料館に行ったことで、気持ちが悪くなって戦争のことを勉強したくないという子どもがたくさんいるが、なぜ資料館に行くか、なぜ被爆体験を聞くのか、ということを大人が教えなくてはならない。大人の先入観が、若い人の可能性にバリアをつくっている。NPT再検討会議は、ゴールではない。失敗する可能性もある。合意文書を作るには、全会一致が必要。2020年はNPT条約発効から50年の大きな節目の会議。どのような結果になろうと、「その先を見越して、帰ってから何をやろうか」ということを考えるための参加と捉えて、結果はどうあれ「何があっても私達は繋げていく」ことを胆に命じて一緒にやっていきましょう。

●参加者アンケートから
・「理論と想像・感性」両方を持ち合わせることが大切!ということを学ばせていただきました。(50代)
・興味・関心はあるがきっかけがない若者が多くいる、ということがわかり、もっと多くの方にきっかけができるように、活動していこうと思います。(20代)
・何事に対しても、事実を知り、想像力を働かせることが大事だと確信しました。小さい頃からの教育も大切と思います(70代)
・「核は抑止力にならない」という言葉がとても印象に残った。また同じ学生でも、平和について真剣に考える人がいて、自分も何か取り組んでみようと思った。(20代)
・とても明確で、最後に「想像力」と言われたことが印象的でした。何かできる!とういことと、何かしなければだめだ!との思いが溢れる講演でした。奈良北高校の取り組みは、素朴ですが高校生の思いが伝わってきました。被爆者の方へのやさしい気持ちがうれしく思いました。すばらしい取り組みだと思います。(70代)
・ピー奈良の取り組みが新しい切り口の平和の取り組みとなっていて感動しました。大学生のピーなら報告、大きな希望の光に感じた。(60代)

また、「とてもわかりやすかった」「心に残る内容だった」「自分事として捉え、行動したい」「世界は変えられる、希望を持って活動していきたい」「自分にできることって何があるだろうと思いをめぐらせる良い機会になった」
などの感想が多くありました。

奈良県生活協同組合連合会

〒630-8136 奈良市恋の窪一丁目2番2号ならコープ内 TEL.0742-34-3535 FAX.0742-34-0043
Copyright (C) 2006-2011 NARA CONSUMERS' CO-OPERATIVE UNION. All Rights Reserved.