【2018.10.02 更新】
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講師の木戸季市氏 |
9月29日奈良商工会議所中ホールで「核兵器禁止条約をつくった人々」をテーマに「ピースアクションinなら2018」を開催しました。日本原水爆被害者団体協議会事務局長の木戸季市(すえいち)さんによる基調講演を行い、被爆体験とたたかいの歴史、最近の核兵器をめぐる情勢について学びました。参加者は105名でした。
講演に続いて、奈良県内の被爆証言の継承活動をしている入谷方直さんからの報告と、大学生協学生委員の「PeaceNow!奈良」報告があり、世界から奈良、戦争体験世代から若者まで、いろいろな角度や世代で核兵器や平和の過去・現在・未来について考える集会となりました。
木戸氏は、ご自身が長崎で被爆した体験と、その後の被爆者としての想いと歴史について話されました。国と米軍により長い間原爆投下の事実も被害も隠蔽され調査・報道・証言は妨害され、被爆者に対しては何の対策も講じられませんでした。7年後に初めて自分が原爆被害者であることを知り、差別や偏見に戸惑いながら、その後被爆者運動に参加されました。日本被団協は62年間、自らの救済を求めるとともに人類の危機を救うため被爆の実相を伝え、「核戦争を二度と起こさない、原爆被害に国の償いを」を掲げ運動してきました。ヒバクシャ国際署名は2020年まで続けます。昨年成立した核兵器禁止条約は被爆者の市民的良心の役割を明記し、核保有国にも参加の道を開いています。保有国からの圧力はありながらも着実に発効に向けて進んでいます。最後に木戸氏は戦後社会の基礎となった日本国憲法の大切さに触れ、戦前のような社会への逆戻りにならないよう、基本的人権の尊重と戦争放棄の原則を守るため主権者国民としてしっかり見極める力と問題意識を持っていることが必要と述べられました。
入谷さんは、今は解散している奈良県原爆被害者の会「わかくさの会」の記録を残し継承する活動をしておられます。3月に奈良県生協連が主催した「ピースかふぇ」がきっかけで新たな原爆被害者の手記の発行にむけ動き出したことや、ならコープの協力を得て元コープ六条店に資料保存展示室のスペースが設けられたことなどが報告されました。「ノーモアヒバクシャ記憶遺産を継承する会」とも連携しながら資料のデジタルデータ化を進めていくとのことで、参加者に活動への協力を呼びかけました。
大学生協学生委員の山根美沙希さんと太田麻友さんは、「PeaceNow!奈良2018」の企画内容と目的や成果について詳しく報告されました。参加者が平和について「知り」、身近な問題として「考え」、人に「伝える」ことができるように、を目的にして、奈良の戦蹟をめぐるフィールドワークや、戦争体験者の証言を聴いたりワールドカフェを行ったりしました。二人は、「平和について取り組む仲間がいることが実感できた」、「これからの新たな平和活動のモデルになればいいと思う」などの感想を述べました。
会場の別室には核兵器禁止条約成立への貢献が評価され2017年にICAN(核廃絶国際キャンペーン)が授賞したノーベル平和賞のメダルと賞状の公式レプリカを展示しました。公式レプリカは展示目的に、世界で10のICAN国際運営団体が保有していますが、今回の展示はその運営団体のひとつである日本のピースボートが保有しているものです。会場を訪れた参加者は熱心に見入り、スマートフォンの写真に納めたりしていました。
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入谷方直さん | 山根美沙希さんと太田麻友さん |
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メダルと賞状を囲んで記念撮影 講師とピースアクションのメンバー
| ICANが授賞したノーベル平和賞のメダルと賞状(公式レプリカ) |