【2018.02.09 更新】
2018年2月3日 奈良市ならまちセンターにて、講演会「なぜ進まない?日本の再生可能エネルギー」が開催され、75名の方が参加されました。生協関係者、奈良市や斑鳩町の行政職員、奈良県内だけでなく京都や大阪のNPOの方も参加され、関心の高さがうかがえました。
安田陽先生(京都大学大学院 経済学研究科 特任教授)の講演では、「なぜ世界中で再生可能エネルギーが促進されるのか?」についてお話しされ、理由として、①費用便益比が大きい ②外部コストが一番低い電源である とのべられました。かけたコスト(費用)よりも市民にもたらされるベネフィット(便益)が大きいということです。また、外部コストはどの電源もゼロではないが、なるべく低いものを選択するべきである。隠れた外部コスト(環境汚染や健康被害、温暖化対策費、放射性廃棄物処理費用などのコスト)をすべて表に出して、コスト(費用)とベネフィット(便益)を計算するべきだと指摘されました。
電力会社の送電線の空き容量の調査結果から、民主的な運用(情報開示など)が必要であると強調されました。送電線の容量が「いっぱいではない」のに、「いっぱいである」という理由の情報が開示されずに、接続できないと拒否するのはおかしい。ベネフィット(将来世代への便益含めて)を考えれば、世界では再生可能エネルギーを使わない理由はないので、当然、再生可能エネルギーに流れていくであろうとのことでした。日本は早く、このことに気づいて動くべきだと指摘されました。
早川光俊先生(CASA専務理事、自然エネルギー市民の会事務局長)は、気候変動の国際交渉の経緯やCOP23の報告、世界企業が石炭火力への投資をやめ、再エネに切り替わろうとしている状況を述べられました。世界はパリ協定に基づき、確実に脱炭素社会に向け舵を切り始めているとのことです。今年度中に決まる日本の石炭火力と原子力依存度の高い「エネルギー基本計画」には、国民はもっと関心を持って意見を言うべきだと呼びかけられました。
会場からの質疑に、安田先生は、素早くデータの映像を使って回答されました。
アンケートには、「進まない原因がある程度わかって良かった。どうすれば再エネ社会に変われるか、考えて行動することが大切だと感じた。」との感想が寄せられました。
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会場いっぱいの参加者 | 安田陽先生の講演 |
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会場からの質問に映像を使って回答 | |