【2015.10.01 更新】
9月25日、奈良県生活協同組合連合会は、会長名で、「安全保障関連法の衆参両院強行採決による成立に強く抗議し、即時廃止を求めます」との意見書を内閣総理大臣充てに送付しました。
内閣総理大臣 安倍晋三殿
2015年9月25日
奈良県生活協同組合連合会
会 長 瀧 川 潔
安全保障関連法の衆参両院強行採決による成立に
強く抗議し、即時廃止を求めます
安倍内閣は7月衆議院での強行採決に続き、このたびの参議院での強行採決により安全保障関連法を可決成立させました。国民の声を無視した民主主義を踏みにじるこれらの政府の行為に強く抗議し、ただちに法の廃止を求めます。
奈良県生活協同組合連合会は、県下39万世帯の組合員とともに「平和とよりよい生活のために」をスローガンに掲げ活動をすすめる生活協同組合の連合会です。安全保障法制およびその立法過程について、主権者として生活者として私たちは以下の点において断じて認めることができません。
1 国民の反対と不安の声を無視し、民主主義を否定しています。国会審議中に行われたいずれの世論調査においても法案に反対の意見は6割を超え、政府の説明は不十分とする意見も8割にものぼるとともに、全国各地では多数の集会が行われ日に日に反対の声が高まりました。にもかかわらず、安倍総理はこれらの事実を真摯に受け止めず、「法案を通してから国民の理解を求める」方向で十分な論議を尽くさないまま持論を押し通し、強行採決に至りました。これはまさしく民主主義を否定する行為に他なりません。
2 安全保障関連法制は、憲法違反であるばかりか立憲主義そのものに反します。圧倒的多数の憲法学者が指摘するように、集団的自衛権の行使容認を含む安保法制は恒久平和主義という日本国憲法の基本理念と、憲法9条に反すると考えます。さらに、立法のもととなった昨年7月閣議決定による憲法解釈の変更は、最高法規である憲法が時の為政者に課している制限を為政者自らが取り外すことに他ならず、国民主権の侵害であり立憲主義を踏みにじる暴挙です。
3 安全保障関連法制は、戦争をしない国から戦争に参加できる国へと、国のあり方を根本的に変えるものです。憲法9条で定めた戦争放棄と平和主義により、戦後70年間日本は一度も戦争をせず巻き込まれず平和国家として歩んできました。特定の国との同盟による集団的自衛権の行使が可能になれば、他の国との関係では緊張関係を生むこととなり、かえって戦争リスクを高めます。子を持つ親として、わが子が戦地に送られる日が来るのではないかという不安を多くの国民が抱いています。
真の平和は、人と人、そして国家間の相互理解と協調の上にこそ成り立つものであり、決して軍備による抑止力で実現できるものではありません。終戦70年を迎えたまさにこの年、日本は改めて先の戦争への深い反省と日本国憲法の基本理念に立脚し、武力によらない国際平和社会の希求を全世界の先頭に立って目指すべき責務があると考えます。
よって、政府は直ちに安全保障関連法を廃止してください。
以上