【2014.05.30 更新】
5月27日、奈良県生活協同組合連合会は、会長名で、「憲法解釈の変更による『集団的自衛権の行使容認』に反対する意見書」を内閣総理大臣宛に送付しました。
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
憲法解釈の変更による「集団的自衛権の行使容認」には反対です
―― 「同盟」よりも「互恵」を――
世界に誇るべき日本国憲法の記念日を前後にして、安倍政権は、憲法についてのこれまでの政府見解を根本的に変更し、集団的自衛権の行使を容認すべきだとの決意を固め、私的な諮問機関の設置と報告書を盾にして、強硬にこれを進めようとしています。
私たち生活協同組合は、くらしの基本である平和を大切に守って行くために組合員とともに力を尽くしてまいりました。日本国憲法は、二度の世界大戦の悲惨な経験を土台として、世界平和のための知恵をもとに作成された国際的に先駆的な憲法です。この憲法の解釈を変更し、集団的自衛権による「軍事的攻撃」を可能にすることは、手続き上もその内容も、憲法を最高の法規とする立憲主義に反する、許されるべきでない対応です。
安倍総理が説明で示された自国の安全に対する脅威のほとんどは、領土領海内においてはもちろん、「集団的自衛権」にたよることなく、現在の法規とその準用で解決が可能であり、ことさらに憲法解釈を変更することは不要であるといえます。解釈を変更してまで対応しようとする「集団的自衛権」の主要な点は「同盟国軍への攻撃に対し日本が軍事攻撃を行う」ことにあり、この場合は「まず間違いなく他国の戦争に巻き込まれる」ことになります。だからこそこれまでの政権は「行使はしない」としていたわけです。いたずらに危機をあおって、問題のこの一点に引きずり込むようなことは許されることではありません。
そもそも「集団的自衛権」は「同盟国」との関係であり、「日米安保条約」が締結時に強調されたように「軍事同盟ではない」のであれば、ことさら問題になることでもなく、今までの政府見解が成立した根拠だったともいえます。「冷戦」も終焉を迎えた今日の世界では、「同盟」は過去のものとし「互恵」を推進することこそが世界平和と国民のくらしを守ることにつながります。「同盟」を強調することは戦争の火種に息を吹きかけるようなものです。外国との間の領土や資源等の問題では、もともとこれらはどこの国家のものでもなく世界の人類、生物のものであります。このことを基礎において、先駆的な日本国憲法の平和主義を生かし、互恵の観点で協議による問題の解決を推進して行くことこそが先進的な対応であり、今こそ求められているものです。
「人と人とのつながり」「助け合いと協同」を精神とする生活協同組合の私たちは、日本国政府が、他国と同じように過去の偏狭なナショナリズムにおちいるのではなく、世界の日本を認識した先進的な対応により、真に国民のくらしと安全を守るよう心から願うものです。
2014年5月27日
奈良県生活協同組合連合会
会長 瀧川 潔