【2013.09.27 更新】
政府は昨年8月に制定された「消費増税法」により、この10月に来年度4月からの増税を決定しようとされていますが、市民の生活の向上が今もって見られない中での消費増税は、市民の暮らしをますます圧迫することは明瞭であり、また日本経済を悪化させる懸念もあるため、4月からの消費増税はしないよう、奈良県生協連として要望書を提出しました。
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
「市民のくらしを圧迫する消費税の増税は実施しないよう、
また財政改革の在り方を再検討されるよう、強く求めます」
政府は昨年8月に制定された「消費増税法」により、この10月に来年度4月からの増税を決定しようとされていますが、市民の生活の向上が今もって見られない中での消費増税は、市民の暮らしをますます圧迫することは明瞭であり、また日本経済を悪化させる懸念もあるため、4月からの消費増税はしないよう、強く要望します。同時に、消費税に頼る「社会保障・税の一体改革」は、世界的に見ても極度に悪化した財政問題での責任を、一般市民・消費者に押し付けるものであり、財政改革のあり方について再度検討しなおすことを要望します。
現在「アベノミクスにより、景気は良くなった」と言われますが、輸出を中心とする大企業や関連企業および関連の高所得者が潤っているのみであり、一般市民は所得もまともに増えず、物価や各種料金の上昇でいっそう厳しいくらしを余儀なくされています。「企業が潤えば、一般市民に回ってくる」という言葉には信頼がありません。むしろ逆で、日本のGDPでは85%以上がいわゆる「内需」であり、市民のくらしに関する事業が圧倒的比率を占めています。この部分が向上することが本当に景気を良くするわけで、そのためにはまず市民の所得を向上させることが大切です。このところ企業の内部留保は好調で、その一部を市民に回すことで、企業の業績も向上するわけです。したがって、単なる経済指標が基準ではなく、一般市民のくらしの向上がなければ消費税を負担することもできないのです。
さらに、世界でもまれな極度の財政悪化は、歴代の政府の「借金による成長造り政策」によるものであり、一般市民よりもむしろ、それにより高度に成長してきた大企業等の側に、その財政悪化の責任を分担していただく必要があるでしょう。今回の消費増税に際しても、企業には減税が必要だとされていますが、一般市民にはとても納得がいきません。企業は法人として「権利義務の主体たる資格」を有するのであり、日本国の財政について権利義務を果たす必要があることは市民と変わりがありません。高額所得者も同様です。外国の方が税金が安いという「泣き言」を言っている場合ではなく、日本の法人企業として、高額所得者として、自国の財政への応分の負担が必要です。
社会保障についても、市民は税のほか介護保険や各種の年金などを長期にわたり負担してきているうえでのことであり、その市民の働きが事業を支えている企業の側の負担も必要であるはずです。
消費税は最終的にはすべて消費者が負担するものであり、企業には基本的に負担がありません。国民一人当たり約800万円という膨大な借金の責任の重要な部分を、一般消費者のみに押し付ける「消費税」をこれ以上増税することは、「国民・市民があって企業がある」ことを忘れた大企業および少数の高額所得者の利益を優先することであり、市民・消費者の組織として、私たちは断じて許すことができません。
再度、4月からの消費税増税はしないこと、企業および高額所得者の応分負担の原則を導入した「社会保障・財政の改革」について検討しなおされることを、強く要望致します。
2013年9月19日
奈良県生活協同組合連合会
会 長 瀧川 潔