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内閣府国民生活局「生活安心プロジェクト」
パブリックコメント提出

【2008.05.29 更新】

「消費者・生活者を主役とした行政への転換に向けて」に対する意見

2008年5月15日標記テーマに対して県連としてパブリックコメントを提出しました。
以下、意見書全文

2008年5月19日
内閣府国民生活局
「生活安心プロジェクト」(行政のあり方の総点検)
意見募集担当 御中
奈良県生活協同組合連合会

『消費者・生活者を主役とした行政への転換に向けて』に対する意見

1)提出団体氏名 奈良県生活協同組合連合会  担当者;専務理事 仲宗根迪子
2)都道府県名  奈良県
3)居住環境   中核都市
4)Tel 0742-34-3535 Fax 0742-34-0043 E-mail m.nakasone@naracoop.or.jp
5)意見
1 消費者・生活者を主体とした行政への転換の必要性に対する意見
*「消費者・生活者を主役とした行政」に発想を転換することは憲法で謳う主権在民や基本的人権、幸福追求権を具現化するもので、全面的に賛成です。国の制度が川上(産業振興)や行政サイドの必要性から組み立てられているものを、川下(国民生活)にとって必要な横断的課題で組み立てなおす発想は新しい行政のあり方につながるものと考えます。ただし「主役」である消費者・生活者に安易に「自己責任」を転化しないよう求めます。(①、②、⑧)
* 「官(国と地方)」「民」の役割を整備しなおすことことに賛成です。それぞれの機能が発揮できることと共にチェック機能をもつことも重要と考えます。特に行政は直接国民の評価を受ける機会は少なく(立法府は選挙で、民間は市場で評価を受ける)、国民の行政満足度は常にチェックする必要があります。また消費者・生活者に一番近い地方行政を充実させることが重要です。それぞれの機能を活かしながらネットワークを構築し協働できる制度と体制を求めます。今回の提言の精神が消費者行政だけでなく国民生活に係る行政全般(特に社会福祉や医療など)に積極的に活かされることを求めます。(③、⑧、27、31、32)
* 「働く人を大切にする社会づくりの推進」が述べられており、サポート体制を整えることに賛成ですが、消費者行政に盛り込まれることで安易に扱われないか危惧します。むしろこのテーマは雇用や就労など労働行政の中で責任を持って検討され、消費者行政からのチェックを受けるという形で推進されるよう求めます。(96-97、100-102)

  
2 新組織の必要性・機能(⑩、⑪、⑬-⑱)と行政のあり方(⑧、⑨、28-48、76・77、87-94、104-106)
* 消費者問題は今やグローバル化しており、国際問題にもなりつつあります。そうしたことからも寄り合い所帯ではない新組織を立ち上げることに賛成です。 各分野の専門集団を組織し、前例主義ではない指導・勧告権限を持ち、迅速に対応し、各省庁や地方組織、民間や消費者団体と密なネットワークを組むことを求めます。また国際基準などの対応も必要と考えます。そのための予算措置が必要です。(⑩、⑪)
* 新組織では消費者団体とのスムーズな情報交換やネットワーク作り、民間団体や地方行政等と協働で啓発・教育を推進すべきです。また消費者問題の専門家を「新組織」の政策立案ポストに起用するとともに、「新組織」の職員を消費生活相談窓口や消費者団体、企業のお客様相談窓口や品質保証部門等、直接消費者情報や消費者と接する部門へ出向させることで人材交流を図ることに賛成です。(18、104-106)
* 行政評価は内部チェック機能と社会的なチェック機能の両面で制度化することに賛成です。そのためにも各省庁での立案機能(産業振興)とチェック機能(消費者対応)は分離すべきです。また、民間と同じようにコンプライアンス経営、CSR報告書の公表など積極的に国民に開示すべきです。(⑨、31・32、86、107・108)


3 消費者と消費者団体(④-⑦、75、95)
* 国民及び民間がこのテーマに積極的に関与し、官と共に推進していくことに賛成です。消費者問題は一人一人の暮らしから高度な専門性を求められる問題までありますが、それぞれのレベルで消費者が関与できる場が保障されることを求めます。国民の声の反映は、世論調査や小グループ分けした双方向のタウンミーティング、地方行政では行政窓口での声の集約、消費者や消費者団体との積極的なネットワーク構築、審議会などへの消費者の積極的な参画(審議会によっては下限数値目標も必要)などが考えられます。また消費者と事業者の意見交換も相互理解が進み、市場の健全化につながると考えます。何より集められた意見が政策に反映させる制度が必要です。(④、43-46、75)
* 地域社会での担い手育成と、ネットワーク構築に賛成ですが、担い手の育成は地方によって条件が違います。大都市の地域コミュニティが形成されにくい所、過疎地で担い手どころか地域コミュニティすら成り立たない所があり、その地域の特質性の中で考える必要があります。自治会や民生委員、学校などの機能の活用、NPOやコミュニティビジネスなどの新しいスタイル、また専門知識が必要なテーマ(食品・製品の安全・高齢者・金融取引など)ごとのサポーター養成講座と、自主・自発・自立的に活動できるよう環境整備や助成制度などが必要です。(④、104)
* 適格消費者団体が被害の未然防止、拡大防止に取り組み、消費者に成り代わって健全な市場を形成する役割を担うという意味では、市場を形成するステークホルダーが利益の一部を寄付などの形で適格団体の育成に参画すべきです。行政サービスの一部を担うという意味では税を使うことも考えられますが、市民や事業者の参画を積極的に進めることを考えると、寄付控除などの優遇策が必要です。また、違法収益の多くは暴力団やヤミ金融に流れる恐れがありますので、損害賠償請求などで剥奪し、被害者救済や適格消費者団体の運営助成資金、健全な市場に循環させるべきです。   (⑤、87-95)
* 消費者教育は覚える授業よりも考え体験する授業が必要です。考え体験をすることで身に着いた知識になります。学校教育では一教師の力だけでなく、それぞれの専門家(相談員や消費者リーダーあるいは技術者など)が参加し、ワークショップなどメニュー提案することで多様な教育を育成していくことが大事です。また社会人への教育は事業者の社員教育プログラムに組み込むこと、マスコミでの事例紹介や公民館活動、イベント時の体験コーナーなど、露出度を高めることです。(⑥、⑦)
 

4 地方行政(④、⑩-⑫、19-27、98・99)
* 消費者行政は現場(消費者・生活者に直接対応している関係者)が重要です。地方自治体に人・物・金・権限が整えら、迅速に対応できることに賛成です。都道府県は斡旋や処分を有効に活用して市町村の現場を支援、消費者団体とのネットワークサポート、情報受発信、レベルアップのための研修・交流の機会、対応力・財政力のない市町村支援。国は特に疲弊している地方消費者行政の環境整備のための法的、財政的支援策を整備し、また国内外の情報受発信、緊急時や広範囲の問題に対して地方行政との積極的な連携、さらには関係各省庁への勧告・指導力を発揮することが求められます。消費者被害情報は個人情報保護の点に配慮しつつ、国民の共有情報として扱うべきです。国民生活センターの持つPIO‐NET情報などは地方自治体や適格消費者団体が積極的に活用できる情報サービスと考えます。(④、⑩-⑫、23・24、52、53)
* 補助金のあり方で地方自治体の主体性を尊重するのは賛成ですが、消費者行政の地域間格差が広がらないよう誘導策が必要と考えます。地方行政が取り組み困難な課題を規制緩和の下で放棄することないよう配慮願います。また政策立案時には地方自治体へのヒアリングや意見交換、人的交流などを通して意見集約に務めていただきたいと考えます。(19-22)
5 食品安全行政
*食品安全行政は食品安全基本法の制定以降、リスク分析やリスクコミュニケーションが三府省の分担と横断的連携で進みました。しかし分担が不明なものや新しい事案の対応など指示系統が明確でない部分もあります。フードチェーンが複雑な現在、あらゆる商品の安全と表示、取引を考えると統一的な組織が必要です。また緊急時に速やかに対応するためにも事故情報などは消費者から直接収集でき、一元化することで迅速な対応が可能になると考えます。(54、56、63、64、)

以上


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